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アンガーマネジメントとは?怒りへの対処法を精神科医が解説

怒りは、なくすべき感情ではありません。問題になるのは、怒りの強さ・頻度・続く長さ・出し方です。このページでは、精神科の外来で実際に用いているアンガーマネジメント(怒りとのつきあい方)の考え方と手順を、6つのステップに整理してご紹介します。各ステップに対応した記入式のワークシート(A4・各1枚)も無料でダウンロードいただけます。

1. 怒りは「悪い感情」ではありません

怒りは、自分や大切なものが脅かされたと感じたときに働く正常な感情です。理不尽な扱いに気づく力でもあり、必要な主張をするためのエネルギーにもなります。したがって、目標は怒りを消すことではありません。

臨床で問題になるのは、次の4つのどれかが行き過ぎている場合です。

見るポイント行き過ぎているサイン
強さささいなことで、10のうち8以上まで一気に上がる
頻度週に何度も、あるいはほぼ毎日ある
続く長さ数時間から数日、頭から離れない
出し方怒鳴る・物に当たる、あるいは飲み込みすぎて体調に出る

怒りを外に出すタイプと、飲み込んで抑え込むタイプがあります。抑え込むタイプの方は、怒りが問題だと自覚しにくいという特徴があり、頭痛や胃の不調、不眠といった身体の症状として現れることも少なくありません。

怒りは3つの部品でできている

部品内容
からだ
(高ぶり)
心拍が上がる、体が熱くなる、力が入る顔が熱い/肩に力が入る
考え
(意味づけ)
出来事をどう解釈したか「バカにされた」「ありえない」
行動
(表し方)
実際にとった振る舞い怒鳴る/黙り込む/物に当たる

この3つのうち、「からだ」に働きかけるのが第4章、「考え」に働きかけるのが第5章、「行動」を選び直すのが第6章にあたります。

目標は「怒らない」ことではありません

「もう怒らないようにする」という目標は、達成できないだけでなく、うまくいかなかったときに自分を責める材料になってしまいます。おすすめするのは、次の目標です。

現実的な目標

怒りを感じたときに、その場で自分が選んだ行動をとれるようになること。怒りが湧くこと自体は変わらなくてかまいません。

この目標には、達成できたかどうかを自分で判定できるという利点があります。「怒鳴らずにその場を離れられた」「あとから伝え直せた」であれば成功です。相手が変わったかどうかは、判定の材料に入れません。

2. 怒りの温度計をつくる

怒りへの対処が難しいのは、気づいたときにはすでに手遅れの高さまで上がっているからです。そこで、怒りの強さを0〜10の数字で測る習慣をつくります。数字の意味はご自身の言葉で決めてください。

目盛り目安
0まったく穏やか
3少しイラッとするが、すぐ流せる
5はっきり怒っているが、まだ落ち着いて話せる
8言い方が強くなる。抑えるのがかなり難しい
10歯止めがきかない

以降のすべてのステップで、この目盛りを共通の物差しとして使います。「8になってから我慢する」のではなく、「5で気づく」ことを目指します。

まずは1週間、記録してみる

最初の課題は記録です。怒った出来事だけでなく、イラッとしたけれど流せた出来事も書いてください。うまくいった対処が見つかります。記録する項目は、出来事(事実だけ)/温度/体に出たサイン/頭に浮かんだ考え/とった行動と結果、の5つです。

あわせて、その日の睡眠時間と飲酒の有無も書き添えておいてください。次の章で役に立ちます。ストレスへの対処法を幅広く知りたい方はストレスコーピングとは?日常でできる対処の具体例もあわせてご覧ください。

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

温度計の記入欄と、1週間分のアンガーログがついています。

シート1をダウンロード(PDF)

3. 引き金と予兆サインを見つける

「気づいたら怒鳴っていた」と感じていても、怒りは引き金 → 体のサイン → 考え → 行動という順番をたどっています。「前兆はない」という方でも、直近の1件をゆっくり巻き戻して思い出すと、ほとんどの場合に体のサインが見つかります。ここが、対処を差し込むことのできる唯一の隙間です。

外の引き金と、内の引き金

種類内容
外の引き金相手の言動、渋滞、締切、通知、騒音、順番の割り込み など
内の引き金
(燃えやすい状態)
睡眠不足、疲労、空腹、痛み、飲酒、体調不良、時間に追われている状態

同じ出来事でも、内の引き金がそろっている日には、温度が2〜3目盛り高いところから始まります。「相手が悪いのか、自分の状態が悪いのか」を分けて考えることが、この章の要点です。

怒りっぽさの相談で、最初に確認するのは睡眠と飲酒です

睡眠が不足すると、感情にブレーキをかける脳の働きが低下することが知られています。「怒りっぽさ」の正体が睡眠の問題だったというケースは決して珍しくありません。記録には必ず前夜の睡眠時間と飲酒の有無を書き添えてください。

睡眠の整え方は精神科医が解説する睡眠の仕組みと快眠のコツ、睡眠が心身に果たす役割は睡眠の役割とは?脳・身体・心への6つの効果をご覧ください。いびきや日中の強い眠気を指摘されている場合は睡眠障害、飲酒量が増えている自覚がある場合はアルコール依存症のページもご参照ください。月経周期に連動していらだちが強まる場合はPMS(月経前症候群)を精神科医の目線で整理するが参考になります。

体に出る予兆サイン

部位よくあるサイン
頭・顔顔が熱くなる/こめかみが張る/視野が狭くなる
のど・胸声が大きくなる/息が浅くなる/動悸がする
肩・腕・手肩が上がる/こぶしを握る/手が震える
おなかみぞおちが固まる/胃が重くなる
そのほか貧乏ゆすりが出る/口調が速くなる/黙り込む

複数当てはまる方は、いちばん早く出るものを一つだけ選んでください。「これが出たら温度5」と決めてしまうのがコツです。目標は我慢の強化ではなく、気づく地点を前倒しすることにあります。

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

引き金トップ5と、体に出る予兆サインを書き出すシートです。

シート2をダウンロード(PDF)

4. 高ぶりを下げるスキルと、タイムアウト

「怒りは発散したほうがいい」という考え方は広く知られていますが、近年の研究はこれを支持していません。

154の研究、約1万人分のデータをまとめた2024年の解析(Kjærvik & Bushman, Clinical Psychology Review)では、高ぶりを上げる活動(サンドバッグ、ジョギング、サイクリングなど)では怒りは減らず、場合によってはむしろ強まったと報告されています。一方で、高ぶりを下げる活動(呼吸法、瞑想、ヨガなど)では怒りが低下したことが、実験室でも日常場面でも一貫して示されました。

誤解のないように

運動が健康に良いことは変わりません。ここで言えるのは、「怒っているその場での対処法」としては、運動や発散は向いていないということです。運動は、怒りの対処ではなく生活習慣として続けてください。

3つの基本スキル

スキルやり方向く場面
ゆっくり呼吸4秒吸って、6秒かけて吐く。吐く時間を吸う時間より長くするのがコツ。1分間続ける会議中や運転中など、その場を離れられないとき
力を抜く肩をぐっと5秒上げてから、一気に落として15秒その感覚を味わう肩や顎に力が入るタイプの方
五感に戻る見えるもの5つ、聞こえる音4つ、触れている感覚3つを心の中で数える頭の中が相手のことで一杯になっているとき

練習は「怒っていないとき」に行ってください

ここが最も重要な点です。怒っているときに初めて試しても、まず効きません。温度0〜2の落ち着いた状態で1日2回、4週間ほど練習しておくことで、必要な場面で使える技術になります。

高ぶりを下げるという考え方の背景については精神科医が教える「サウナ×マインドフルネス」もご参照ください。

タイムアウトの5つの手順

温度が6を超えた場面では、その場を離れることが最も確実な方法です。ただし黙って立ち去ると相手には無視と受け取られるため、あらかじめ手順を決めておきます。

手順内容
① 宣言する「今ちょっと頭に血がのぼっているから、15分だけ時間をください」
② 場所を決める別室、玄関の外、近所を一周など、事前に決めておく
③ 時間を決める15〜30分を目安に。長すぎると相手の不安を招く
④ その間にすること上の3スキルのどれか。相手への反論を考えるのは逆効果
⑤ 戻る第一声「さっきの話、続けてもいいですか」

可能であれば、この手順を穏やかなときにご家族や同僚と共有しておいてください。「離れることを妨げない」という合意があるだけで、成功率が大きく変わります。

避けたほうがよい対処

よくある対処問題点
お酒を飲んで忘れる抑制が外れ、その場では収まっても翌日以降に強い形で出やすい
SNSに書き込む言葉にして反すうすることになり、怒りが持続しやすい
運転して気を紛らわせる高ぶった状態での運転は危険。安全上の問題があります
買い物や過食で発散する一時的に気は逸れるが、あとで別の後悔が加わる

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

タイムアウトの手順を書き込む欄と、呼吸法の4週間練習表です。

シート3をダウンロード(PDF)

5. 怒りを強める考え方を見直す

返信が2日来なかったとします。「軽く見られている」と受け取れば温度は7まで上がりますが、「立て込んでいるのだろう」と受け取れば3で済みます。出来事そのものではなく、その解釈が温度を決めているのです。

ここで大切なのは、無理に前向きに考え直すことではないという点です。目指すのは、解釈を事実に近づけることです。実際に相手に問題があった場合は、そう判断してかまいません。その上で、どう伝えるか(次章)を考えます。この手法は認知行動療法の中心的な技法で、基本的な考え方は認知行動療法とは?コラム法・技法・受け方を精神科医が解説で解説しています。

怒りを強める5つの考え方のクセ

クセ頭に浮かぶ言葉の例
べき思考「普通はこうするべきだ」「常識的にありえない」
決めつけ・レッテル「あいつは無能だ」「どうせいつもこうだ」
心の読みすぎ「わざとやっている」「バカにしている」
破局視「もう終わりだ」「取り返しがつかない」
個人的に受け取る「自分だけが軽く扱われている」

怒りの場面で最も多いのはべき思考です。「べき」は、自分の中の基準を相手にも当てはめている状態を示します。基準そのものが間違っているわけではありませんが、相手が同じ基準を持っているとは限りません。

考えを見直す3つの問い

温度が下がったら、自分に問いかけてみてください

  1. 事実は何か? 実際に起きたことと、自分の解釈を分けるとどうなりますか。
  2. ほかの見方はあるか? 同じ状況で、悪意以外の説明がつくとしたら何ですか。
  3. この考えを持ち続けると、どうなるか? 自分にとって得ですか、損ですか。

3つ目の問いは特に有効です。「自分は正しい」と「その考えを持ち続けるのが自分の得になる」は、別の問題だからです。正しさを手放す必要はありません。

頭の中だけで行うと、たいてい元の考えに戻ります。紙に書くことで、はじめて別の見方が定着します。この形式は「コラム法(思考記録表)」と呼ばれるもので、詳しい書き方はコラム法(思考記録表)のやり方を精神科医が解説で紹介しています。温度が7から4に下がれば十分です。0を目指す必要はありません。

「怒りの反すう」を止める

出来事が終わったあとも、頭の中で相手への反論を繰り返してしまう状態を反すう〈同じ考えが頭の中で何度も繰り返されること〉といいます。反すうは怒りを長引かせ、次の爆発の準備をしてしまいます。実際、怒りと感情の扱い方を調べた研究では、反すう・抑え込み・回避は怒りと結びつきやすく、受け入れることと見方を変えることは怒りと逆方向に働くことが示されています。

対処やり方
時間を決める「考えるのは20時から15分だけ」と枠をつくり、それ以外の時間に浮かんだら「あとで考える」と保留する
注意を移す考えを止めようとするより、皿を洗う・散歩するなど別の行為に注意を移すほうが成功しやすい
書いて終える言いたいことを紙に書き、実際には送らない。書いたら閉じる、と決めておく

「考えないようにしよう」は逆効果です

考えを打ち消そうとすると、かえってその考えが浮かびやすくなることが知られています。打ち消すのではなく、置き場所を決める(あとで考える)か、行為を変えるという方向で対処してください。

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

考えの見直しシートと、反すうへの対処をまとめた1枚です。

シート4をダウンロード(PDF)

6. 怒らずに伝える(アサーション)

怒りの相談で多いのは、「ずっと我慢していたが、あるとき限界が来て爆発してしまった」というパターンです。これは性格の問題ではなく、選択肢が二つしかないことによって起きます。増やしたいのは、その中間にある三つ目の選択肢——温度が低いうちに、小さく伝えることです。

特徴結果として起きること
攻撃的相手を責める。「お前が」「いつも」「なんで」相手が防御に回り、内容そのものが届かない
受け身言わずに飲み込む不満が蓄積し、いずれまとめて出る
アサーティブ事実・自分の気持ち・要望を分けて伝える要望が検討されやすい

伝え方の型(DESC法)

段階内容言い方の例
D 事実評価を混ぜず、起きたことだけを述べる「昨日お願いした資料が、今朝届きました」
E 気持ち主語を「私」にして、自分の状態を伝える「私は少し焦りました」
S 要望具体的に、行動の形で伝える「次回は前日の17時までにいただけますか」
C 見通しそうなると何が良いかを添える「そうすると当日の確認に余裕ができます」

要点は「私」を主語にすること

「あなたが遅い」は評価です。「私は焦りました」は事実です。評価は反論されますが、自分の状態は反論されません。

伝えるタイミングの原則

温度が5を超えているうちは、話し合いを始めないでください。まず前章のスキルで温度を下げ、4以下になってから伝えます。温度が高いまま話すと、内容ではなく口調のほうが問題にされ、結局要望は通りません。

怒りが溜まる背景には、断れずに引き受けてしまう習慣があることも少なくありません。「その件は引き受けられません。かわりに◯◯までならできます」(断る)、「即答できないので、明日までに返事をします」(保留する)、「そこは私の理解と違います」(訂正する)といった言い回しを、声に出して一度練習しておくと、必要な場面で出てきます。

相手が変わらないとき

成功の判定を「相手が変わったか」ではなく、「自分が伝えられたか」に置いてください。伝えられたなら成功です。そのうえで、関係の持ち方をどう調整するかは、別の問題として考えます。

相手との意思疎通が根本的に噛み合わないという感覚が続く場合、背景に発達特性が関わっていることがあります。この点はASDはなぜ共感性・社会性が乏しく見える?脳のしくみと接し方およびカサンドラ症候群|発達障害パートナーへの対処法と改善策で解説しています。職場の状況が原因で心身の不調が続いている場合は、適応障害(適応反応症)としての評価が必要になることがあります。

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

DESC法を実際の場面にあてはめて書き込むシートです。

シート5をダウンロード(PDF)

7. 続けるための計画と、変化が乏しいとき

「以前よりましになった気がする」という感覚は、悪い日が一日あるだけで簡単に崩れます。そこで、記録から数字を拾って比較します。ここで重要なのは、温度の高さより「収まるまでの時間」と「行動の回数」です。怒りが湧く回数はあまり変わらなくても、収まる時間が半分になっていれば、それは確かな変化です。

順調に見えていても、繁忙期や体調不良の時期には元に戻ったように感じます。これは予定されている出来事と考えてください。一度うまくいかなかったことは、それまでの取り組みが無駄だったことを意味しません。崩れやすい状況(繁忙期、飲酒の機会、帰省、体調不良)を前もって書き出し、それぞれに対策を一つずつ用意しておきます。

対処カードを持ち歩く

温度が上がっている最中は、学んだことを思い出せません。次の5行を書いたカードを、財布やスマートフォンケースに入れておきます。

  1. 今の温度は?  /10  わたしのサインは(     )
  2. 4秒吸って6秒吐く ×1分
  3. 「今の考えは事実? ほかの見方は?」
  4. それでも6以上なら → タイムアウト(  分・言うことば:     )
  5. 落ち着いてから、DESC法で伝える

変化が乏しいとき、背景に何があるか

ここまで取り組んでも変化が乏しい場合、意志や努力の問題ではなく、怒りの背景に別の状態がある可能性を考えます。怒りやすさは、次のような状態の一症状として現れることがあります。

背景にありうるもの気づくきっかけになるサイン
睡眠の問題いびきを指摘される、日中の強い眠気、寝ても疲れが取れない
うつ状態気分の落ち込み、興味の低下、朝がつらい。いらだちが前面に出ることもあります
気分の波時期によって活動量や気分が大きく変動する
発達特性子どものころからの不注意・落ち着かなさ、予定変更への強い反応
心的外傷の影響過去のつらい体験に関連した過敏さ、警戒感、眠りの浅さ
飲酒量が増えている、酔うと人が変わると言われる
身体的な要因慢性的な痛み、甲状腺の機能、ホルモンの変動、服用中の薬
加齢に伴う変化「以前はこんなに怒りっぽくなかった」という明らかな変化

それぞれの詳しい説明は、うつ病躁うつ病(双極症)大人のADHD(注意欠如多動症)の診断と治療PTSDの各ページをご覧ください。

なお、衝動的な怒りの爆発が繰り返され、生活に大きな支障が出ている状態には間欠爆発症という診断名があります。この場合も心理的な取り組みが治療の中心となり、状況に応じて薬物療法が併用されることがあります。治療の選択は個別に検討するものであり、効果のあらわれ方には個人差があります。薬物療法の考え方については精神科の薬物療法をご参照ください。

次のような場合は、お早めにご相談ください

  • 人に手が出た、または出そうになった/物を壊した
  • 自分を傷つけたい気持ちが出てきた
  • 眠れない日が続いている
  • 気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 飲酒量が増えている

受診の目安についてはメンタルクリニックはどんな時に受診?目安を精神科医が解説、初めて受診される方の流れは初めての方へでご案内しています。

この章のワークシート(無料・A4 1枚)

ふり返り表と、切り取って携帯できる対処カードです。

シート6をダウンロード(PDF)

8. ワークシートのまとめてダウンロード

各章に掲載したワークシート6枚を、1つのPDFにまとめたものです。A4・各1枚ずつに収めてありますので、まとめて印刷される場合はこちらをご利用ください。書き込むこと自体が取り組みの中心になりますので、頭の中だけで済ませず、紙に出すことをおすすめします。

ワークシート6枚セット(無料)

温度計とアンガーログ/引き金と予兆サイン/タイムアウトと呼吸法の練習表/考えの見直し/DESC法/ふり返りと対処カード

6枚セットをダウンロード(PDF・6ページ)

※ 印刷してご自由にお使いいただけます。ワークシートは情報提供を目的とした補助資料であり、診断や治療の代わりになるものではありません。

9. よくあるご質問

Q. 怒りっぽいのは性格の問題でしょうか。

性格として説明されることが多い一方で、睡眠不足、痛み、飲酒、ホルモンの変動、うつ状態、発達特性など、状態によって左右される部分が大きいことがわかっています。「変えられない性格」と決めつける前に、条件を整理してみる価値があります。

Q. 走ると本当にすっきりするのですが、それでも意味がないのでしょうか。

運動後の爽快感自体は多くの方が感じるものです。ただし研究の結果は、その爽快感が「怒りの低下」とは一致しないことを示しています。運動は生活習慣として続けていただき、怒っているその場での対処は呼吸法などに分けるのが現実的です。

Q. その場で言い返さないと、なめられませんか。

即座に言い返すことと、要望が通ることは別です。実際には、温度が高い状態での発言は口調のほうが問題にされ、内容が検討されにくくなります。落ち着いてから伝えるほうが、結果的に主張は通りやすくなります。

Q. ワークに取り組んでも、あまり変わりません。

変化が乏しいこと自体が重要な情報です。多くの場合、睡眠の問題、うつ状態、発達特性、飲酒など、背景に別の要因があります。「自分には効かない」と結論する前に、一度診察でご相談ください。

Q. 薬で怒りっぽさは治りますか。

怒り自体を消す薬というものはありません。背景にある状態(睡眠の問題、うつ状態、発達特性など)への治療によって、結果的にいらだちが落ち着くことはあります。何が背景にあるかを見極めることが先になります。

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参考文献・出典

【監修・執筆】永井常高(神楽坂メンタルクリニック院長・精神保健指定医・精神科専門医/指導医)

永井 常高

永井 常高

熊本大学卒 慶應義塾大学医学部精神神経科教室 精神保健指定医(第21030号) 精神科専門医・指導医

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