>> 当日予約・24時間予約はこちら
初診案内 Web予約 お問い合わせ アクセス

心療内科

心療内科とは?|こころと体のつながりから考える医療

「検査では異常がないのに、お腹や頭の不調が続く」「ストレスがかかると体の症状が悪くなる」——そんなお悩みはありませんか。心療内科は、こうした身体の症状と心の働きのつながり(心身相関)に着目し、体と心の両面から診ていく内科の一分野です。このページでは、心療内科の考え方、精神科との違い、心身症とは何か、治療の進め方、扱う主な病気までを、受診を検討されている方やご家族にもわかりやすくご説明します。

監修・執筆:永井常高(当院院長/精神保健指定医・精神科専門医/指導医) 最終更新:2026年6月

目次

  1. 心療内科とは
  2. 「心身症」という考え方
  3. 生物・心理・社会モデル(BPSモデル)
  4. 心療内科の治療アプローチ
  5. 心療内科で扱う主な疾患(各論)
  6. 統合医療における心療内科の役割
  7. よくあるご質問(FAQ)
  8. 参考文献

1. 心療内科とは

ポイント:心療内科は本来「内科の一分野」です。心身相関(体と心のつながり)の視点から、心理社会的な要因が深く関わる身体の病気を、体と心の両面から包括的に診ます。

心療内科と聞くと、多くの方が「心の病気を診る科」というイメージをお持ちかもしれません。しかし本来、心療内科は「内科の一分野」です。その語源は「心理療法内科」で、当初は東京大学に設けられていた「物理療法内科(物療内科)」に対して設けられた診療科とも言われます。その大きな特徴は、身体の症状と心の働きが密接に関連しているという「心身相関」の視点に基づき、患者さんを全人的に理解し治療する点にあります。

診断の出発点はあくまで身体の症状であり、その発症や経過に、ストレスをはじめとする心理社会的な要因が深く関与する「身体疾患」を主な対象とします。従来の臓器別の医療では原因が特定しにくかったり、治療が難しかったりする症状に対して、心と身体の両面から包括的にアプローチするのが心療内科の役割です。

精神科との違い

患者さんから最もよく受ける質問の一つが、精神科との違いです。両者は心の健康に関わる点で共通していますが、アプローチの出発点が異なります。

診療科 主な対象 アプローチの出発点
心療内科心理社会的要因が関わる身体疾患(心身症など)身体の症状(腹痛、頭痛、動悸など)
精神科脳の機能的な問題による精神疾患(うつ病、統合失調症など)心の症状(気分の落ち込み、不安、幻覚など)

近年、精神科受診への心理的ハードルを下げる目的で「心療内科」を標榜する精神科クリニックが増えたため、両者の区別が曖昧になっています。当クリニックは精神科・心療内科の両方を標榜し、どちらの視点からも診療を行います。


2. 「心身症」という考え方

ポイント:心身症は精神疾患ではなく「身体の病気」です。その発症や経過に心理社会的ストレスが密接に関与し、検査で異常が出るもの(器質的)と出ないもの(機能的)の両方があります。「病名」ではなく「病態」として、ある・なしの二択でなく程度(スペクトラム)で捉えます。

心療内科を理解する上で最も重要な概念が「心身症」です。これは、心理社会的なストレスが、身体の機能や構造に具体的な影響を及ぼす状態を指します。

心身症の定義

日本心身医学会では、心身症を次のように定義しています。

「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」

この定義のポイントは、次の5つです。

  1. 身体疾患である:心身症は精神疾患ではなく、胃潰瘍や気管支喘息のような身体の病気です。「心身症は心の病」という誤解はとても多いのですが、まずここが最も大切な点です。
  2. 心理社会的因子が密接に関与する:発症や悪化の引き金として、ストレスなどの心理社会的要因が無視できない役割を果たしています。患者さんに説明する際は「ストレス」と言い換えることもあります。
  3. 器質的ないし機能的障害が認められる:胃潰瘍のように組織の構造的な変化(器質的障害)が認められる場合と、過敏性腸症候群のように検査では異常がないものの機能的な不調(機能的障害)が認められる場合があります。
  4. 「病名」ではなく「病態」である:心身症は「心理社会的因子がその疾患に関わる程度」を表すもので、特定の病名ではありません。そのため記録上は「心身症」とは書かず、たとえば「下痢型過敏性腸症候群(心身症)」のように、病名の後ろにカッコ書きで添えるのが正しい表記とされています。
  5. 精神疾患に伴う身体症状は除外する:うつ病による食欲不振・体重減少などの身体症状は、それ自体は心身症ではありません。ただし実際にはうつ病に心身症が合併するなど、重なることも少なくありません。

ストレスは、自律神経系・内分泌系・免疫系などを介して身体に直接的な影響を及ぼします。たとえば過度な緊張は血圧を上昇させ、胃酸の分泌を過剰にし、免疫機能を低下させることが科学的に示されています。心身症は、このようなメカニズムを通じて心理社会的な問題が身体症状として現れた状態なのです。

器質的心身症と機能的心身症

心身症というと過敏性腸症候群や片頭痛などが有名で、これらは検査で異常が出ない「機能的心身症」の代表例です。しかし実際には、糖尿病やバセドウ病、肥満症なども、心理社会的因子が関与する「器質的心身症」としてよく知られています。どちらのタイプであっても、その背景に心理社会的要因が関与していれば、心身症として扱われます。

心療内科でよく診る心身症(臓器別)

心身症は、全身のさまざまな臓器・器官に関連して存在します。代表的なものを臓器別にまとめます。

系統 主な心身症の例
呼吸器系気管支喘息、過換気症候群、神経性咳嗽 など
循環器系本態性高血圧症、起立性調節障害、冠攣縮性狭心症、たこつぼ心筋症 など
消化器系消化性潰瘍、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、食道アカラシア など
内分泌・代謝系2型糖尿病、神経性やせ症、過食性障害、甲状腺機能亢進症、単純性肥満症 など
神経・筋肉系緊張型頭痛、片頭痛、筋筋膜性疼痛、痙性斜頸 など
その他関節リウマチ、線維筋痛症、更年期障害、月経前症候群、顎関節症、アトピー性皮膚炎、メニエール病 など

(久保千春 編『心身医学標準テキスト』を参考に作成)

たとえば過敏性腸症候群の有病率は成人の約10%とされ、実際に受診に至らなくても心身症の素因を抱えている方は非常に多いと考えられます。

心身症と似た概念(MUS・FSS・SSD)

心身症とよく似た概念に、検査で原因が説明できない症状を指すMUS(医学的に説明困難な症状)、その中で一定の症状のまとまりを示すFSS(機能性身体症候群)、そしてDSM-5の診断名であるSSD(身体症状症)があります。これらは重なり合う部分があり、境界は必ずしも明確ではありません。

概念 内容
MUS
(医学的に説明困難な症状)
検査をしても原因となる身体の異常が見つからない症状の総称。最も広い概念。
FSS
(機能性身体症候群)
過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア・線維筋痛症・慢性疲労症候群など、検査で異常が出にくいが症状のまとまりがある一群。
SSD
(身体症状症/DSM-5)
身体症状そのものよりも、それに対する過剰なとらわれ・不安・行動が続く状態に着目した精神医学的な診断名。

心身症は「ある・なし」で割り切れるものではなく、心理社会的因子の関与の程度のスペクトラムとして捉えることが大切です。心身症の枠にとらわれすぎず、しかし見落とさず、一人ひとりの背景を丁寧にみていきます。


3. 生物・心理・社会モデル(BPSモデル)

ポイント:心療内科では、人を「生物(からだ)・心理(こころ)・社会(環境)」の3つの側面が影響しあう統一体として捉えます。治療もこの3側面から総合的に行います。

心療内科では、一人の人間を「生物学的(からだ)」「心理的(こころ)」「社会的(環境)」という3つの側面が相互に影響しあう統一体として捉える「生物・心理・社会モデル(Bio-Psycho-Social Model)」に基づいて診療を行います。

生物学的要因(Bio)

遺伝的素因、体質、身体の状態(既往歴や現在の身体疾患)など。

心理的要因(Psycho)

認知、感情、行動、パーソナリティ、ストレスへの対処など。

社会的要因(Social)

家庭・学校・職場の環境、人間関係、経済状況、社会的支援など。

心身症をはじめ多くの不調は、これらの要因が複雑に絡み合って発症・悪化・慢性化すると考えられています。治療においても、この3つの側面から総合的にアプローチすることが不可欠です。


4. 心療内科の治療アプローチ

ポイント:心療内科の治療の真骨頂は、医師と患者さんが一緒に「病態仮説」(なぜ今この症状が出ているのかという納得できる物語)をつくり、共有することです。そのうえで、心理療法や薬物療法、生活指導を組み合わせます。

心療内科の治療は、単に薬で症状を抑えるだけでなく、症状の根本にある心理社会的な問題に働きかけ、患者さん自身が持つ治癒力を引き出すことを目指します。

治療の真骨頂:「病態仮説」の構築と共有

治療プロセスの中核をなすのが「病態仮説」の構築と共有です。これは、患者さんの症状、生活背景、心理状態といった情報を統合し、「なぜこのような症状が、今このタイミングで現れているのか」という問いに対して、医師と患者さんが共に納得できる物語(ナラティブ)を創り上げる共同作業です。このプロセス自体が、患者さんの不安を和らげ、治療への主体的な参加を促す強力な治療的介入となります。

心療内科医

病態仮説づくりの「キモ」

良い病態仮説をつくり、共有するうえで大切なのは、次の3つです。

  1. 医学的に矛盾がないこと:世の中には医学的に間違った情報もあふれています。仮説は、現在の医学から見て筋の通ったものであることが、説得力と信頼につながります。
  2. 患者さんが十分に理解・納得できること:専門用語を避けたり、図にして示したりして、患者さんが「自分のことを理解してもらえた」と感じられることが大切です。
  3. 患者さんと一緒に構築すること:医師が一方的に説明するのではなく、患者さんの「こう感じる」という受け止め方(解釈モデル)を尊重し、仮説に織り込みます。この共同作業が信頼関係と自己効力感を高めます。

病態仮説についてのよくある誤解

よくある誤解 実際は…
医師が作らないといけない患者さんの「こう感じる」を取り入れ、共同で作り上げるのが理想です。
同じ病気には同じ仮説がある背景は一人ひとり異なり、10人いれば10通りの仮説があります。
一度決めたら変更してはいけないあくまで「仮説」。経過に応じて柔軟に修正してよいものです。
すべてを患者さんと共有する伝えすぎて不安が増すこともあるため、必要な部分に焦点を当てます。
すべてを網羅しないといけない網羅性より、わかりやすく実行可能であることが重要です。

心理療法の活用

症状の根本にある心理社会的要因に働きかけるため、さまざまな心理療法を用います。心理療法は一説には500種類ともいわれますが、心療内科でよく用いられる代表的なものを挙げます。

心理療法の種類 主な目的とアプローチ
支持的精神療法「支持・傾聴・保証・共感」を基本とし、患者さんに安心感を与え、不安や苦痛を和らげる。あらゆる心理療法の基盤となる、最初に身につけたい姿勢です。
認知行動療法(CBT)出来事に対する自動的な考え(認知)が感情や行動に影響するというモデルに基づき、偏った認知を修正し、より適応的な行動を学ぶ。たとえば「腹痛が起きたらどうしよう」という破局的な考えを「対処法はある」に修正していきます。
自律訓練法「気持ちが落ち着いている」「手足が温かい」といった公式を心の中で繰り返す自己暗示によって、心身のリラックス状態を導き、自律神経の乱れを整える技法。一人でも実践できます。
交流分析エリック・バーンが提唱。自我状態(親・成人・子)のモデルを用いて自己を分析し、対人関係のパターン(ストロークやゲーム)を理解・改善することを目指す。

心理療法を選ぶ際は、侵襲性(どこまで深く心に踏み込むか)・一人でできるか他者の協力が要るか・必要なセッション数などを総合的に考え、患者さんに合ったものを選びます。また、日本で生まれた森田療法(不安や症状をあるがままに受け入れる)や内観療法(過去を振り返り自己理解を深める)が適することもあります。これらは薬物療法と並行して、あるいは中心的な治療として用いられます(効果には個人差があります)。


5. 心療内科で扱う主な疾患(各論)

ポイント:心療内科が扱う範囲は、消化器・神経・代謝・内分泌など全身に広がります。いずれの病気でも、身体の治療と並行して、背景にある心理社会的要因に働きかけるのが特徴です。

心療内科が扱う疾患の範囲は非常に広く、一般的な身体疾患から、検査では異常が見つからない「医学的に説明困難な症状(MUS)」まで多岐にわたります。ここでは代表的な領域ごとに解説します。

消化器系の心身症

消化器は「第二の脳」とも呼ばれ、脳と腸が密接に影響しあう「脳腸相関」を通じて、心理的ストレスの影響を非常に受けやすい臓器です。

過敏性腸症候群(IBS)

腹痛や腹部の不快感が排便によって変化し、下痢や便秘などを伴う機能性の疾患です。器質的な異常がないにもかかわらず慢性的な症状に悩む方が多く、有病率は約10%に上るとも言われます。国際的な診断基準(Rome IV)が用いられ、便の形状(ブリストル便形状スケール)に基づき下痢型・便秘型・混合型・分類不能型に分類することが治療上重要です。

治療は、消化管機能調整薬などの薬物療法に、背景の不安・抑うつに対する薬剤を組み合わせることがあります。あわせて、生活習慣・食事内容の見直しや、認知行動療法・リラクセーション法などの心理的アプローチ、症状を自己管理するための心理教育が中心的な役割を果たします。

機能性ディスペプシア(FD)

胃潰瘍やがんなどの器質的疾患がないにもかかわらず、みぞおちの痛みや胃もたれといった上腹部の不快な症状が慢性的に続く状態です。内視鏡検査などで器質的疾患を除外することが診断に必須です。症状から、食後のつらさが主のPDS(食後愁訴症候群)と、みぞおちの痛みが主のEPS(心窩部痛症候群)に分けられます。

治療は、胃酸分泌抑制薬(PPI)や消化管運動機能改善薬に加え、食事内容の見直しや規則正しい生活習慣の指導を行います。心理社会的要因が強い場合は、リラクセーション法や認知行動療法を取り入れます。

疼痛・神経系の心身症

痛みやめまいは生活の質(QOL)を大きく損なう一方、検査で異常が見つかりにくく、心理社会的要因と深く結びついていることが多い症状です。

一次性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛)

診断には丁寧な病歴聴取が最も重要です。特に注意したいのが、鎮痛薬の使いすぎで頭痛が悪化する薬物乱用頭痛(MOH)で、月に15日以上鎮痛薬を使用している場合は疑います。いつ・どんな状況で頭痛が起き、どの薬が効いたかを記録する「頭痛ダイアリー」が、誘因の把握や治療方針の決定に役立ちます。

慢性疼痛

急性期の痛みが治まった後も3〜6か月以上持続する痛みです。痛みに対する恐怖や不安、活動の回避といった心理社会的要因が絡み合い、痛みを永続させる悪循環(痛みの恐怖回避モデル)を生みます。治療では、破局的な考え方を修正する認知行動療法(CBT)や、痛みがあっても価値ある人生を送ることを目指すアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)が有効とされます。「痛みをゼロにする」のではなく「痛みとうまく付き合いながら自分らしい生活を取り戻す」ことを目標に据えるのがポイントです。

持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)

3か月以上持続する慢性的なめまいのうち近年注目されているもので、回転性のないふわふわとした不安定感が主症状です。立つ・歩く・人混みなどの視覚刺激で悪化します。治療には前庭機能のリハビリテーションと、めまいへの破局的思考や回避行動を修正する認知行動療法の組み合わせが有効とされています。

代謝・内分泌・摂食関連の心身症

日々の生活習慣と密接に関連し、行動変容が治療の鍵となりますが、その背景にはストレスや自己肯定感、社会的なスティグマ(偏見)といった複雑な心理社会的要因が存在します。

肥満症

単に体重が多いという問題ではなく、高血圧・糖尿病・脂質異常症など多くの健康障害を合併しうる医学的な疾患です。心療内科的アプローチでは、なぜ過食に至るのか、運動が続けられないのかといった行動の背景にある心理的要因(ストレス対処としての食事など)に焦点を当て、認知行動療法を活用します。肥満に対する社会的スティグマに配慮し、自己肯定感を支えることも大切なケアです。

月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)

月経の数日前から、心身にさまざまな不調(イライラ、気分の落ち込み、不安、頭痛、むくみ、乳房の張りなど)が現れ、月経の開始とともに軽快するものを月経前症候群(PMS)といいます。中でも、抑うつ・不安・怒りなどの気分症状が特に強く、日常生活に大きな支障をきたすもの月経前不快気分障害(PMDD)と呼びます。生活習慣の調整やセルフモニタリングに加え、症状に応じて薬物療法(SSRIや低用量ピルなど)や心理的アプローチを組み合わせます。

2型糖尿病

食事・運動・薬物による血糖コントロールが中心ですが、その自己管理は大きな心理的負担を伴います。合併症への不安、治療に伴う抑うつ、糖尿病であることへのスティグマなど、多くの心理的課題があります。心療内科では、治療への動機づけを高める動機づけ面接や、不安を受け入れつつ価値ある行動を選べるよう支援するACT、ストレス対処としてのマインドフルネスなどを通じて、患者さんが前向きに治療へ取り組めるよう支援します。

神経性やせ症

極端な食事制限と「やせ願望」を特徴とする摂食障害です。低体重による深刻な身体合併症を伴うだけでなく、背景には自己評価の低さや完璧主義、家族関係の問題など複雑な要因が存在します。身体を回復させる栄養療法と、心理的問題に取り組む心理療法の両方が不可欠で、医師・公認心理師・管理栄養士などによる多職種のチーム医療が必須です。入院治療や、家族を巻き込んだ家族療法が有効なこともあります。

重篤な身体疾患と心の問題(リエゾン)

生命を脅かす疾患に直面した患者さんとご家族の精神的苦痛に対処し、QOLを維持することも心療内科の重要な役割です。身体科の治療チームと連携(リエゾン)して支えます。

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)

がん患者さんとそのご家族が直面する心理社会的な問題に対応する分野です。診断初期の衝撃と不安、治療期の抑うつやせん妄、再発への恐怖、終末期の苦悩など、病気の各段階で異なる心理的反応に寄り添います。ケアの基本は支持的なコミュニケーションで、必要に応じて精神療法や薬物療法を用います。終末期には、人生の意味を見出すことを支援する短期集中精神療法(CALM療法)なども注目されています。

サイコネフロロジー

慢性腎臓病(CKD)患者さんの心の問題を扱う分野です。病状の進行とともに腎機能という身体の一部を「喪失」する体験をし、やがて透析導入という生活を大きく変える決断を迫られます。この過程で多くの方が否認・抑うつ・不安を経験します。支持的な対話を通じて葛藤に寄り添い、患者さんが現実を受け止め、治療に主体的に参加できるよう支援します。

※当院は外来診療を行うクリニックです。入院やチーム医療を要する重症例、専門的な身体管理が必要な場合などは、適切な医療機関と連携・ご紹介します。


6. 統合医療における心療内科の役割

ポイント:心療内科は身体科と精神科の架け橋として、患者さんを全人的に捉え、症状の根本原因に迫る医療をめざす診療科です。

現代医療が専門化・細分化する中で、患者さんを身体・心理・社会的な側面を持つ一人の人間として全人的に捉え、多職種が連携して支える統合医療の重要性はますます高まっています。心療内科は、身体科と精神科の架け橋となり、症状の根本原因に迫ることで、患者さん一人ひとりの物語に寄り添う、より人間的な医療を実現する要となる診療科です。

リエゾン・コンサルテーション心身医学

心療内科の学問的背景の一つに、リエゾン・コンサルテーション心身医学があります。これは、身体疾患を持つ患者さんの心理的サポートに重点を置く分野で、前述のサイコオンコロジーやサイコネフロロジーもここに含まれます。身体科の医師・看護師などのチームと連携し、患者さんの心理的ニーズを共有することで、より包括的なケアを提供します。

神楽坂メンタルクリニックの心療内科診療

「身体の不調が続いているのに検査では異常がない」「ストレスがかかると症状が悪化する」といったお悩みは、心療内科が得意とする領域です。当院の院長は、総合病院の精神科において、身体疾患を併せ持つ患者さんの診療にも携わってきました。その経験を踏まえ、こころと身体の両面から、一人ひとりの背景を丁寧に理解する診療を心がけています。主治医制による継続的な関わりの中で、安心してご相談いただける関係づくりを大切にしています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

ご予約はこちら(オンライン予約)

神楽坂駅 1b出口より徒歩1分以内/精神科・心療内科


7. よくあるご質問(FAQ)

Q. 心療内科と精神科は、どちらを受診すればよいですか?

A. 大まかな目安として、腹痛・頭痛・動悸・めまいなど身体の症状が中心で「ストレスで悪化する」と感じる場合は心療内科、気分の落ち込み・不安・眠れないなど心の症状が中心の場合は精神科が入口になりやすいです。ただし両者は重なることが多く、当院は精神科・心療内科の両方を標榜していますので、迷う場合もまずはご相談いただいて差し支えありません。

Q. 「検査では異常なし」と言われた症状でも相談できますか?

A. はい。検査で異常が見つからないのに続く症状(医学的に説明困難な症状)は、心療内科が得意とする領域の一つです。「気のせい」で片付けるのではなく、身体の状態を確認したうえで、背景にある心理社会的な要因も含めて一緒に考えていきます。

Q. 心身症は「心の病気」なのですか?

A. いいえ。心身症は精神疾患ではなく、身体の病気です。その発症や経過に、ストレスなどの心理社会的な要因が密接に関わっている状態を指します。過敏性腸症候群のように検査で異常が出ないものも、高血圧や糖尿病のように検査で異常が出るものも、心身症に含まれます。

Q. 心療内科では必ず薬を使いますか?

A. 必ずしも薬を使うわけではありません。心療内科の治療では、症状の背景を一緒に整理する「病態仮説」の共有や、心理療法・生活指導が大きな柱になります。薬物療法はその一部であり、必要性や種類は症状とご希望をふまえて一緒に決めていきます。

Q. 内科や他の科にすでにかかっていても受診できますか?

A. はい。むしろ身体疾患の治療を受けながら心療内科を併用することはよくあります。すでに受けている検査結果やお薬の情報をお持ちいただくと、より正確に状態を把握できます。必要に応じて、かかりつけの先生や専門の医療機関と連携します。


8. 参考文献

  • 大武陽一. (2024). みんなの心療内科. 中外医学社.
  • 大武陽一(編著). (2023). そのとき心療内科医ならこう考える かかりつけ医でもできる! 心療内科的診療術. 金芳堂.
  • 日本心身医学会教育研修委員会. (1991). 「心身医学の新しい診療指針」. 心身医学, 31: 537-73.
  • 岡田宏基. (2014). 「MUS, FSS, 身体表現性障害、そして心身症:概念の理解と整理についての私案および一般医へのトレーニングプログラム」. 心身医学, 54: 991-1000.
  • 久保千春(編). (2009). 心身医学標準テキスト. 医学書院.
  • 堀越 勝・野村俊明. (2012). 精神療法の基本:支持から認知行動療法まで. 医学書院.
  • 池見 陽・浅井伸彦(編). (2022). あたらしい日本の心理療法:臨床知の発見と一般化. 遠見書房.

【監修・執筆】永井常高(神楽坂メンタルクリニック院長・精神保健指定医・精神科専門医/指導医)

本ページは一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状の現れ方や治療の経過には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

ページ上部へ戻る
03-5579-8290

電話対応 9:00~18:00
FAX番号 03-5579-8322(24時間)
※11月1日より電話対応開始