公開日:2026年11月1日|カテゴリー:院長ブログ
1st ANNIVERSARY
神楽坂メンタルクリニックは
おかげさまで開院1周年を迎えました
2025年11月1日 開院 → 2026年11月1日
1年前の11月1日の朝、私は誰もいない待合室で「本当に患者さんは来てくださるのだろうか」と考えていました。それから1年。当院を選んでくださった患者さん、ご家族、そして支えてくださったすべての方に、心より感謝申し上げます。
今回はいつもの医学解説から少し離れて、精神科の開業医として過ごした1年間を、できるだけ正直にお話しします。肩の力を抜いて、お茶でも飲みながら読んでいただければ幸いです。
目次
1. 「勤務医は守られていた」と知った1年
開業して最初に痛感したのは、勤務医時代の自分がいかに守られた立場だったか、ということでした。
病院に勤めていた頃は、建物の管理も、事務も、お金のことも、それぞれの専門部署が担ってくれていました。医師は目の前の患者さんの診療に集中していればよかったのです。開業医になると、そのすべてが自分の肩に乗ってきます。
医学以外の「勉強」が始まった
この1年、医学書と同じくらい開いたのが、経営・IT・医療事務の本や資料でした。診療報酬(保険診療の料金のしくみ)のルール、予約システムや電子カルテの設定、スタッフの雇用に関わる決まりごと。どれも医学部では習わないことばかりです。特にホームページは独学で運営しているため、ホームページ制作については他人に教えられるくらい詳しくなりました。
正直に言えば、最初は戸惑いの連続でした。それでも一つひとつ理解していくうちに、「クリニックの仕組みを整えることも、患者さんが安心して通える環境づくりの一部なのだ」と考えられるようになりました。
2. 開業前の想像 vs 現実
開業医の仕事は、診察室の外にもたくさんあります。開業前に思い描いていたイメージと実際とのギャップを、少しだけ笑い話としてご紹介します。
どれも今では良い思い出ですが、当時は真剣に頭を抱えていました。患者さんからは見えない場所で、クリニックは毎日少しずつ「調整」されているのです。
3. 院長の1週間|木曜日はサウナで
診療日は診察と書類仕事、休診日の木曜日は「学びと発信」の日。これがこの1年で定着した私の1週間のリズムです。
診療日のタイムテーブル
休診日の木曜日は「サウナのワーキングスペース」へ
休診日の木曜日、私は毎週のように都内のサウナに併設されたワーキングスペースで過ごしています。このブログの多くも、実はそこで書いています。
午前中は医学論文やガイドラインの確認、経営や医療事務の勉強。行き詰まったらサウナでひと汗かいて、頭をすっきりさせてから再びパソコンに向かう。この切り替えが、私にとって大切な「整える時間」になっています。
患者さんに「休養も治療のうちですよ」とお伝えしている以上、自分自身の心身のメンテナンスも欠かせない――そう考えるようになったのも、開業してからの変化です。
サウナとこころの関係については、以前のブログで医学的な視点から詳しく解説しています。
4. 都心で開業医を続けるということ
都心でクリニックを続けていくために最も必要なのは、プレッシャーと向き合い続ける覚悟だと感じています。
都心には多くのクリニックがあり、患者さんにはたくさんの選択肢があります。それ自体は患者さんにとって良いことです。一方で、運営する側から見れば、工夫を怠れば閉院のリスクと常に隣り合わせという現実があります。
勤務医時代には感じることのなかった、このプレッシャー。都心で開業医になれるかどうかは、医師としての力量に加えて、この重圧に耐えられるかどうかなのだと、この1年で実感しました。
続けていくために大切にしている2つのこと
この2つは車の両輪のようなものです。どちらが欠けても、クリニックを長く続けることはできないと考えています。
5. 支えてくれた人たち
この1年を乗り越えられたのは、決して私一人の力ではありません。
受付・医療事務スタッフ
当院に集まってくれた受付・医療事務のスタッフは、本当に人柄の良い方ばかりです。精神科の受付は、緊張しながら来院される患者さんを最初にお迎えする大切な役割を担っています。経営者1年生として、これほど恵まれたスタートはなかったと心から感謝しています。
専門家の皆さんと、家族
経営の相談に乗ってくださったコンサルタントの方、税務を支えてくださった税理士の先生。そして、開業という決断を受け止め、いちばん近くで見守ってくれた家族。実務の面だけでなく、精神的にも大きな支えをいただきました。
精神科医として「一人で抱え込まないでください」と患者さんにお伝えしてきましたが、その言葉の重みを、今度は自分自身が実感する1年でした。
6. 1年目に始めた新しい取り組み
当院では、患者さんと向き合う時間を少しでも増やすために、デジタル技術を積極的に取り入れています。
診察時のAIによる記録支援(音声入力)
2026年10月から、診察時の会話をもとにAIがカルテ記録を補助する仕組みを導入しました。目的はただひとつ、パソコンの画面ではなく、患者さんの表情を見てお話しするためです。精神科の診察では、言葉だけでなく、表情や話し方の変化も大切な情報になります。
運用方法やプライバシーへの配慮については、診察時の音声入力(AIによる記録支援)についてのお知らせをご覧ください。
Web予約から自動精算まで
24時間受付のWeb予約、診察券アプリ、自動精算機を組み合わせ、受付や会計での待ち時間を減らす工夫をしています。詳しい流れは初診のご案内にまとめています。
白衣を着ない、一緒に決める
私は診察時に白衣を着ていません。少しでも緊張をやわらげ、対等な立場でお話ししたいと考えているからです。治療方針も、医師が一方的に決めるのではなく、選択肢とその利点・注意点をお伝えしたうえで、患者さんと一緒に決めていくことを大切にしています(協働意思決定〈患者さんと医師が話し合って治療方針を決める考え方〉)。当院の考え方は当院の理念でもご紹介しています。
7. 神楽坂の「地域のクリニック」として
都心にあっても、当院は神楽坂に根ざした地域のクリニックでありたいと考えています。
開院前は、都心のクリニックには遠方から多くの方が来院されるのだろうと想像していました。ところが実際にこの1年間で受診してくださったのは、神楽坂を中心とした近隣にお住まいの方や、近くでお勤めの方がほとんどでした。
ビルが立ち並ぶ都心であっても、医療の基本は「地域医療」なのだ――この1年で、それを改めて実感しました。困ったときに気軽に相談できる、地域のかかりつけの精神科・心療内科として、これからも歩んでいきたいと思います。
8. 精神科の受診は「勇気のいる一歩」だから
精神科を受診することは、多くの方にとって大きな勇気を必要とする一歩です。この1年で、私が最も心に刻んだことでもあります。
医師はこれまでの臨床で、数えきれないほどの患者さんと出会ってきました。けれども患者さんにとっては、迷い、悩み、ようやく予約ボタンを押した末の、たった一度の出会いかもしれません。どのような医師と出会うかは、その後の治療に大きく関わります。
その一歩の重みを忘れずに、一回一回の出会いを大切にしていきたい。
これが、開院1年を迎えた今の私の素直な思いです。
なお、診察時間がどうしても限られてしまう理由については、以前のブログ「精神科の診察はなぜ短い?カウンセリングとの違いを解説」で詳しくお話ししています。
9. 2年目に向けて
2年目も、常勤医による一貫した主治医制を守りながら、受診しやすい環境づくりを進めていきます。
新しい取り組みを開始する際は、お知らせでご案内いたします。木曜日のサウナ通いも、きっと続けていると思います。
10. よくある質問
Q. 開院1周年で、診療体制に変更はありますか?
A. 変更はありません。引き続き、常勤医である院長がすべての診察を担当する主治医制で診療を行います。
Q. 診察時のAIによる記録支援とは何ですか?
A. 診察中の会話をもとに、AIがカルテ記録の作成を補助する仕組みです。診断や治療方針は医師が判断します。詳しくはお知らせをご覧ください。
Q. オンライン診療やカウンセリングは受けられますか?
A. 現在はどちらも実施していません。開始に向けて準備中で、決まり次第お知らせいたします。オンライン診療についてはすでに駆動できる状態に来ているため、そろそろ開始できる段階です。
Q. 精神科の受診が初めてでも予約できますか?
A. はい。Web予約は24時間受け付けており、診療時間内はお電話(03-5579-8290)でもご予約いただけます。受診の流れは初診のご案内をご覧ください。
2年目も、神楽坂メンタルクリニックを
どうぞよろしくお願いいたします。
しんどいときは、一人で抱え込まずにご相談ください。
ご予約はこちら(オンライン予約)お電話:03-5579-8290(診療時間内)
今すぐ誰かに話を聞いてほしいときは、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)もご利用いただけます。おかけになった地域の公的な相談窓口につながります(受付時間は窓口により異なります)。
※本記事は院長の個人的な所感を含みます。治療の経過や効果には個人差があります。
【監修・執筆】永井常高(神楽坂メンタルクリニック院長・精神保健指定医・精神科専門医/指導医)
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