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クリニックに流れる音楽について― AORという選択 ―

KAGURAZAKA MENTAL CLINIC / BGM

クリニックに流れる音楽について
― AORという選択 ―

神楽坂メンタルクリニック|院長コラム

神楽坂メンタルクリニックの待合室と院内には、一日を通してBGMが流れています。何気なく耳に届く音楽ですが、その選曲には院長なりのこだわりがあります。毎回ではありませんが、洋楽が流れていることがしばしばあります。今回は、なぜこの音楽を選んでいるのか、その理由をお話しします。


クリニックのBGMに込めた3つの意味

① プライバシーの保護

精神科・心療内科の診察室では、デリケートな悩みや症状についてお話しいただきます。適度な音量のBGMは、廊下や待合室へ会話が漏れにくくする「サウンドマスキング」の効果があります。安心して話せる環境づくりのために、BGMは欠かせない存在です。

② 待合室でのリラクゼーション

受診前は、誰しも多少の緊張や不安を感じるものです。穏やかで心地よい音楽には、その緊張をほぐし、リラックスした状態でお待ちいただける効果があります。音楽療法の観点からも、テンポが緩やかで協和音の多い音楽は、自律神経を整える働きがあることが知られています。

③ 院長の趣味を少し共有する場として

クリニックは「治療の場」であると同時に、人と人が出会う場所でもあります。BGMを通じて院長の好みや人柄を少しでも感じていただき、「こんな音楽が好きな先生なんだ」と親しみを持っていただければ嬉しいと思っています。来院されるたびに、懐かしい曲や好きな曲に出会えたら幸いです。


なぜ「AOR」なのか

院内のBGMに選んだのは、AOR(Adult-Oriented Rock)と呼ばれるジャンルの楽曲です。

AORは1970〜80年代にアメリカを中心に花開いたポップ・ロックのスタイルで、洗練されたアレンジ、滑らかなメロディライン、そして温かみのある歌詞が特徴です。激しさよりも「大人の落ち着き」を重視した音楽性が、クリニックの雰囲気にとても合っていると感じています。

AORの楽曲には、恋人・家族・友人など「大切な誰かへの想い」を丁寧に歌ったものが多くあります。聴いていると、自然と優しい気持ちになれる。それが、私がこのジャンルを好きな最大の理由です。

— 院長より

精神科診療において大切なことのひとつは、「つながり」の感覚を取り戻すことです。孤独や孤立が、うつ病や依存症をはじめとする多くの心の不調の背景にあることは、精神医学的にも広く認識されています。人間関係の温かさを歌ったAORは、そうした「つながり」の感覚を音楽的に補ってくれると、院長は考えています。


プレイリストについて

現在院内で流しているプレイリスト「神楽坂メンタルクリニックBGM1」は、全116曲・約8時間40分のボリュームです。Apple Musicで公開していますので、ご興味のある方はぜひ自宅やお出かけ先でもお楽しみください。

収録アーティスト(一部)

  • シカゴ(Chicago)
  • ダリル・ホール & ジョン・オーツ
  • クリストファー・クロス
  • ジャーニー(Journey)
  • ピーター・セテラ
  • リチャード・マークス
  • ボビー・コールドウェル
  • Airplay
  • スターシップ(Starship)
  • セリーヌ・ディオン
  • ピーボ・ブライソン
  • …and more

シカゴの「Hard to Say I’m Sorry」、リチャード・マークスの「Right Here Waiting」、クリストファー・クロスの「Sailing」……どれも一度耳にしたら忘れられない、時代を超えたメロディばかりです。ご存知の曲が流れていたら、ぜひお気軽に「あの曲ですよね」と声をかけてください。


最後に

当クリニックのコンセプトは「病院っぽくないクリニック」「カフェのような日常の延長としての空間」です。メンタルクリニックを受診するということは、精神的な限界を感じて来られているはずです。お待ちする間も、少しでも心が和らぐ空間でありたいと思っています。

BGMをBGMとして聞き流していただくだけでも、あるいは「あ、この曲知ってる」と少し笑顔になっていただけるだけでも、院長はとても嬉しいです。

永井 常高

永井 常高

熊本大学卒 慶應義塾大学医学部精神神経科教室 精神保健指定医(第21030号) 精神科専門医・指導医

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