クリニックの玄関を出て、斜め向かいを見上げると大きな朱の鳥居があります。赤城神社です。ふだんは静かで、お昼休みにベンチでひと息つく人がぽつぽついるくらいの場所なのですが、年に一度だけ、まったく違う顔になる日があります。それが例大祭(れいたいさい)。今年は2026年9月19日(土)・20日(日)に行われます。
今回はお医者さんの話はいったん脇に置いて、ご近所のいち住人として、このお祭りの魅力をご紹介します。
1. 2026年の赤城神社例大祭は9月19日・20日
例大祭は、その神社にとって一年でいちばん大切なお祭りです。赤城神社の例祭日は毎年9月19日と決まっていて、2026年はその19日がちょうど土曜日。19日(土)・20日(日)の二日間にわたって斎行されます。
※開始時刻や演目などの詳細は変更されることがあります。お出かけ前に赤城神社の公式サイトでご確認ください。
大祭式は「見る」お祭りではありません。境内でおごそかに執り行われる神事なので、参列は関係者の方が中心です。一般の参拝者は、社殿の外から静かに見守るかたちになります。にぎやかさを楽しみたい方は、日が暮れてからの時間帯がおすすめです。
2. じつは「江戸の三社」。700年を超える歴史
毎日その前を通っていると、つい「近所の神社」くらいに思ってしまうのですが、赤城神社はかなりの由緒あるお社です。
はじまりは1300年、群馬からやってきた
伝承によれば、正安2年(1300年)、群馬県・赤城山のふもとにいた大胡(おおご)氏の一族が牛込に移り住んだとき、故郷の鎮守だった赤城神社の御分霊をお祀りしたのが始まりとされています。つまり「赤城」という名前は、はるばる上州から神楽坂までやってきた地名なのですね。
その後、寛正元年(1460年)に太田道灌が牛込台へ、さらに弘治元年(1555年)に現在の地へと遷され、今に至ります。
山車が江戸城に入れた、たった三つの神社
個人的にいちばん驚いたのがこの話です。天和3年(1683年)、幕府は赤城神社を江戸大社の列に加え、牛込の総鎮守としました。このとき「日枝神社」「神田明神」と並んで「江戸の三社」と称されたと伝えられています。
この三社は、祭礼の山車や練り物が竹橋から江戸城の内堀に入り、半蔵門に抜けることを許されていたそうです。神楽坂から大名行列のように山車が出ていく光景を想像すると、なかなかすごい。残念ながら、街に電柱や電灯が増えたことで、山車行列は明治32年の大祭が最後になりました。
氏子地域に、神楽坂六丁目も入っています
赤城元町、赤城下町、矢来町、早稲田町……と、赤城神社の氏子地域はかなり広範囲にわたります。そのなかに神楽坂六丁目も含まれていて、当院が建っているのもまさにこの町。ご近所というより、地元の氏神さまにあたるわけです。
3. ガラス張りの社殿という、ちょっと珍しい神社
はじめて赤城神社を訪れた方が、だいたい同じ反応をします。「え、神社なのにガラス張り?」
そうなんです。現在の社殿は「赤城神社再生プロジェクト」によって建て替えられたもので、建築家の隈研吾さんが総合監修を手がけ、2010年(平成22年)9月の「本殿竣工例大祭」で完成しました。ガラス面と檜の格子を組み合わせた、かなり現代的なデザインです。
夜になると、ガラスの向こうの灯りがぼんやり外へ透けて、社殿そのものが大きな行灯(あんどん)のように見えます。この見え方はお祭りの夜がいちばん映えると思っています。
境内には、戦後ながく再建できずにいた建物も、このプロジェクトで一緒に蘇りました。
4. 夜の境内が主役。露店と奉納演芸
日中のおごそかな空気から一転、夕方になると境内と参道に露店がずらりと並びます。焼きそば、たこ焼き、りんご飴、射的……という、あの懐かしい並び。年によっては50軒を超える出店でにぎわいます。
個人的には、18時〜19時ごろがいちばん好きな時間帯です。空がまだ少し明るくて、提灯の色が出はじめる、あの短い時間。
奉納演芸は「毎年ちがう」のが面白い
赤城神社の夜の目玉が、神楽殿での奉納演芸です。神様に芸を奉納する、という趣旨の催しなのですが、赤城神社の場合は年ごとに内容がまったく違います。過去には傘回しや獅子舞といった太神楽(だいかぐら)の曲芸が披露された年もあれば、地元の劇団による演劇が上演された年もありました。
「今年は何をやるんだろう」と当日まで楽しみにできるお祭り、というのはなかなか贅沢だと思います。開演時刻は年によって違うので、これも公式のお知らせでご確認を。
また、神楽坂六丁目の通りでは、年によって神輿(みこし)や山車が出ることもあります。クリニックのすぐ前の道を神輿が通っていくのは、地元ならではの眺めです。
5. 神楽坂の街ぜんぶが、お祭りの顔になる
お祭りの時期にうれしいのは、境内だけでなく街のほうも一緒に色づくことです。神楽坂通りには「神楽坂」と染め抜かれた提灯が連なり、夜になるとぽつぽつと灯がともります。
せっかくなので、坂を上ったり路地に入ったりしながら歩くのがおすすめです。神楽坂は石畳の細い路地が縦横に走っていて、少し入るだけで雑踏の音がすっと遠ざかります。露店でなにか買って、静かな路地のほうまで持っていって食べる、というのが個人的な定番です。
ちなみに、境内は御神域のため飲食が禁止されています。買ったものは境内の外か、社務所のとなりにある「あかぎカフェ」などでいただきましょう。
6. 行く前に知っておくと快適な5つのこと
ご近所に住んでいるからこそ分かる、ちょっとした注意点をまとめておきます。
① 駅から本当にすぐ
東京メトロ東西線神楽坂駅の「神楽坂口(出口1)」から徒歩1分ほど。改札を出て地上に上がると、もう鳥居が見えています。都営大江戸線の牛込神楽坂駅からは、大久保通りを歩いて10分弱です。混雑を避けたい場合は、こちらの大江戸線ルートのほうが落ち着いています。
② 境内での飲食はしない
前述のとおり、境内は飲食禁止です。露店で買ったものを持ったまま拝殿に向かわないよう、気をつけたいところです。
③ 写真は「そっと」撮る
個人のスナップ写真は厳しく規制されていませんが、社殿内での撮影、社殿に背を向けて正面で撮ること、参拝の妨げになる場所での撮影は控えるのがルールです。プロによる撮影や収益を目的とした撮影には、事前の許可申請が必要とされています。
④ 人混みが苦手なら、時間をずらす
いちばん混むのは土日の19時〜21時あたり。ゆっくり見たい方は、日が落ちかけの17時台か、21時以降の引きぎわが狙い目です。参拝自体は24時間できますので、翌朝の静かな境内をのぞいてみるのも、これはこれで良いものです。
⑤ 当院に来られる方へ
当院は赤城神社の斜め向かいにあります。お祭りの当日は、神社の周辺と神楽坂六丁目の通りが普段より混雑することが予想されます。診療でお越しになる際は、少し早めに出発していただくか、大久保通り側から回っていただくと歩きやすいかと思います。はじめて受診される方は、初診の流れのページもあわせてご覧ください。
7. よくある質問
Q. 赤城神社の例大祭は、誰でも行っていいのですか?
A. 露店や奉納演芸などの神賑行事は、どなたでも自由にお楽しみいただけます。一方、19日の大祭式は関係の方が中心の神事のため、一般の参拝者は社殿の外から見守るかたちになります。
Q. 雨が降ったらどうなりますか?
A. 神事は予定どおり斎行されますが、神楽殿での奉納演芸は天候によって中止・変更となる場合があります。当日の実施状況は神社の公式サイトやSNSでご確認いただくのが確実です。
Q. 子ども連れでも楽しめますか?
A. 露店には昔ながらの子ども向けの店も並びます。ただし夜は人出が多くなるため、はぐれないようお気をつけください。境内は石畳で段差もありますので、ベビーカーの方は明るいうちのほうが動きやすいと思います。
Q. 7月の「神楽坂まつり」とは別のお祭りですか?
A. 別のものです。7月の神楽坂まつりは毘沙門天善國寺を中心とした商店街の夏祭り(ほおずき市と阿波踊り)で、9月の例大祭は赤城神社の一年でいちばん大切な神事にあたります。神楽坂では、夏と秋で二度たのしめるというわけです。
Q. お祭りの日、クリニックは開いていますか?
A. 診療日・診療時間は通常どおりです。最新の診療カレンダーは当院ホームページでご確認ください。ご予約はオンラインから24時間承っております。
8. おわりに
700年前に群馬から運ばれてきた神さまが、江戸城に山車を送り込み、戦災で焼け、ガラス張りに生まれ変わって、いまも毎年9月19日にお祭りをしている。クリニックの斜め前で、そんなことがずっと続いているのだと思うと、なんだか不思議な気持ちになります。
9月19日(土)・20日(日)、神楽坂にお越しの際は、ぜひ足を運んでみてください。提灯の下を歩くだけでも、なかなか良い時間です。
神楽坂メンタルクリニック
精神科・心療内科/東京メトロ東西線 神楽坂駅 1b出口より徒歩1分以内
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6丁目39-1 エキューラ神楽坂 2A
24時間オンラインでご予約いただけます
こころの不調でお困りのとき、すぐに相談したい場合は「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)もご利用いただけます。
参考にしたもの
- 赤城神社「令和8年 赤城神社例大祭」
- 赤城神社「ご由緒」
- 赤城神社「ごあいさつ(赤城神社再生プロジェクトについて)」
- 赤城神社「お知らせ(境内での撮影・飲食について)」
- かぐらむら「令和七年 赤城神社例大祭」
掲載内容は2026年9月12日時点の情報にもとづいています。日程・内容は変更となる場合がありますので、最新情報は赤城神社の公式サイトをご確認ください。
【監修・執筆】永井常高(神楽坂メンタルクリニック院長・精神保健指定医・精神科専門医/指導医)
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